安倍総理が来年4月の消費税引き上げを延期した場合、先の総選挙の際の公約に反していること、アベノミクスの失敗を自ら認めたことになること等色々な論点があります。しかしもうひとつ、看過できない問題があります。
それは、安倍政権が、昨年度予備費で手当てした、中小零細事業主等が軽減税率に対応するための機器やシステムを導入するための補助金1000億円のこと。
もし来年4月に消費税を引き上げないのであれば、この支出は一体何だったのかということになります。
これは、来年4月まで極めて時間のない中で、中小零細事業主の方々が急ぎ対応できるよう、わざわざ昨年度の予備費で支出したものです。予備費というのは、どうしてもその年度に支出しなければならないような緊急時にのみ使うもの。
ところが、来年4月に消費税を引き上げないのであればこの支出はいらなかったことになります。
「今回消費税引き上げを延期してもいずれ引き上げることになるのだから」といった弁解を政府はするのかもしれません。しかし、タイミングが後になれば、導入すべき機器やシステムのスペックも変わってくるかもしれません。そもそも、時間的余裕があるのであれば、政府が税金を使って補助金を出す必要も低いのではないかということにもなります。
その支出額1000億円。国民の税金です。その重みを安倍総理は正しく受け止めて判断するのでしょうか。